五竜岳から白馬岳へ(最終回)
(写真:不帰嶮の夜明け)
みなさん、こんにちは。
(=´∀`)ノ
五竜岳から白馬岳の縦走旅も、いよいよ核心部に入ります。
前回は、五竜岳に登ったあと、唐松小屋に到着しビバークしたところまで書きました。
前回の記事はコチラ⤵︎
trailtravel8hureai.hatenablog.jp
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ルートのおさらいです。
本日は朝4時30分に出発し、暗いうちに唐松岳に登った後、不帰嶮(かえらずのけん)を通過し、白馬鑓ヶ岳〜杓子岳〜白馬岳の白馬三山を縦走。
その後は大雪渓から猿倉バス停に降りる予定です。
不帰嶮の不思議な感覚
朝の3時に目が覚めました。
たっぷり寝たので、元気一杯です。
天気は、薄いガスが出ていますが、上空は晴れてます。
寒さもそれほどではありません。
サッサとツェルトをたたみ、朝ごはんのパンを頬張ると、元気よく出発します。
4時15分でした。
真っ暗な中、振り返ると唐松小屋の灯りが遠ざかっていきます。
この瞬間はいつも気持ちが引き締まります。
人間の領分を出て、異界に入っていくような感じ。
心細いような、ワクワクするような、不思議な気持ちがします。
唐松岳山頂へは、明瞭で歩きやすい道が続いています。
20分もすると、頂上に到着しました。
もちろん誰もいません。
唐松小屋の方を見ても、誰も登ってくる人はいませんでした。
闇の中で景色も見えませんから、先を急ぎます。
ここから、いよいよ険しい岩場が連続する不帰嶮へと下っていきます。
「不帰」という語感そのものに鋭さが感じられますね。
一度足を踏み入れたら、誰も帰ってこれない!
((((;゚Д゚)))))))
すごい威圧感…
唐松岳からの下りは急ですが、広いつづら折の斜面で、特に危なくはありません。
しかし、下り切ると、薄闇の中に巨大な岩塊の影が、不気味な姿を見せています。
ハイマツがヘッドライトに照らされて、まるで白い花畑のように見えます。
まさに異界、幻想的な光景。
月が冷たく輝いています。
岩壁は月明りにぼんやり浮かびながら、何も言わずに僕を見つめているようでした。
一人ぼっちなのですが、岩塊の息遣いが感じられて、周りに気配が満ちているような不思議な感覚。
しかしそれは、どことなく親しみを持って僕を取り囲んでいるような気がして、少しも不安は感じませんでした。
むしろ、自分の感覚が溶け込んでいくような、一体感すら覚えました。
やがて、夜の彼方が仄かに色づいてきます。
朝の光とともに、峻険な岩肌が露わになって、
先ほど感じた魔術的な感覚が解かれてゆきました。
そして、目の前に現れたのは、厳しい表情をした岩綾です。
夜は明けて、再び僕は一人ぼっちになりました。
険しい道、冷たい風
さて、朝とともに、先ほど感じていた幻想的な雰囲気は消え、代わりに険しい岩場が現れました。
僕も現実に戻り、先へ進みます。
不帰嶮は、北から1〜3峰と呼ばれる岩嶺が並び、その険しい峰を繋いで細い尾根が連なっています。
ここは第2峰の頂上。
少し広い平地になっていて、一息つくことができました。
向こうには第1峰が聳えているのが見えます。
こんな危うい所もちらほら。
振り返ると、こんな崖を降りてきたことに改めてビックリ。
まだまだ鋭い岩場が続きます。
ようやく第1峰に到着しました。
向こうに見える険しい峰は、天狗の頭と呼ばれる場所です。
地図には、天狗の頭から南(つまり僕のいる第1峰の方向)には「天狗の大下り」と記されています。
つまり、北へ進む僕にとっては「天狗の大登り」になるわけ。
( ´Д`) ウヘー
でも仕方がない。
せっかく登った第1峰を惜しみつつ、天狗の頭を目指して下ります。
下り切ると、6時40分に不帰キレットと名付けられた鞍部にでます。
ちなみに、キレットとは山の稜線が特に深く落ち込んだ場所のことを言い、「切戸」というれっきとした日本語です。
不帰キレットからは天狗の頭へと続く急登(僕にとっては「天狗の大登り」)。
このあたりから、唐松岳を目指す登山者とすれ違い始めます。
聞くと、天狗の頭あたりからはガスが出て、天気は良くないとのこと。
そう言えば、次第に日本海側から冷たい風が吹き始めました。
キレットの手前から天狗の登りを見るとこんな感じ。
(´-`)…
こんな岩登りもありました。
しかし、それよりもキツくなってきたのが風でした。
かなりの強風で、ジャケットがバタバタと激しく波打ちます。
しかも、冷たい!
天狗の頭に出れば、油断すると身体を押されるくらいの強さに。
ガスも濃くなってきて、かなり寒くなってきました。
吹きっさらしの稜線なので、休むこともままなりません。
手がどんどん赤くなっていきます。
実は今回、指のついた手袋を持ってくるのを忘れてしまい、手を握ったりさすったりして我慢しなければなりませんでした。
強風と寒さをしのぎながら、なんとか8時20分に天狗山荘に到着。
中には白馬岳から来た人が僕と同じように寒そうに座っています。
情報交換すると、やはり白馬岳も風が強く、ガスの中とのこと。
ここから鑓温泉のほうへ降りたほうがいいかと迷います。
冷えた体を温めようと、鮭茶漬けを頼みました。
( ´∀`)∩ うまい!
体が温まり、手が動くようになってくると、少し元気が出てきました。
窓を見ると、ガスも少し薄くなったような気がします。
よし! ということで、旅を続けることにしました。
ありがとう白馬三山
天狗山荘の外に出てみると、明らかにガスが薄くなっています。
風は弱いですが、天狗山荘は信州側にあるので、日本海から吹き付ける風がどんな状態かは分かりません。
ともかく、ガスが薄くなったのはいい傾向でした。
もしかすると、白馬岳に着くころには晴れるかもしれません。
まずは白馬鑓ヶ岳に続く登りを進みます。
ガレた道を40分ほど登ると、
到着しました!
白馬鑓ヶ岳頂上です。
だいぶ天気は回復しましたが、まだ見晴らしが得られるほどではありません。
続いて、杓子岳へと向かいます。
その途中、急な下りの途中で、薙ぎ払われたように突如として雲が取れました。
するとそこには、
ドーンと、
いままで隠されていた杓子岳が、ド迫力で目の前に現れました!
Σ(゚д゚)! すごい!
日本海側の滑らかな斜面と、信州側の険しい崖が、何とも言えない造形の妙です。
もう気持ちの盛り上がりが止められません。
急ぎ杓子岳の取り付きまで下り降ります。
杓子岳は中腹の巻き道を通る人が多く、僕も最初はそうするつもりでした。
しかし、あんな劇的な形で、あの雄大な姿を見せてもらったからには、山頂に登らなければ杓子岳に失礼でしょう。
迷わず山頂へと向かいます。
巻き道から山頂へ向かう分岐を進み、セッセと登ると、程なく山頂が見えてきました。
信州側は切り立った崖です。
慌てて落っこちないように気を付けて進みます。
そして、
杓子岳です!
(^ω^)ノ 到着しました!
すっかりガスが取れて、岩壁の下に白馬村がよく望めました。
そして、北側にはピラミッド型の白馬岳が。
白馬という優美な名前に反し、雄々しいその様子は、深田久弥が「怒れる獅子」と例えたとおり、力強く見る人を惹きつけます。
その見事な姿を見ていると、「早く来い」と呼ばれているような気がしました。
なんだか、白馬三山がそろってガスを取り払い、待っていてくれたような気がします。
ありがとう白馬三山!
下山 そしてまた
はやる心を押さえきれずに杓子岳を下ります。
広々とした谷が広がっていました。
信州側の絶壁も見事ですが、日本海側の優美な傾斜も大好きです。
杓子岳を振り返ってみると、その傾斜の対比がよく分かります。
ちなみに、僕は杓子岳の、まるで屋根のようにまっすぐ引かれた稜線が大好きです。
何度見ても、面白いなあ、と思います。
ここから白馬岳は、ひと登りです。
ぐんぐんと白馬岳との距離が近づいてきます。
中腹に白馬山荘が見えます。
白馬山荘に到着。11時40分でした。
ここで気を落ち着けて、昼ご飯にします。
天空の昼食です。
白馬山荘は、すごく立派な山小屋です。
小屋というより、まるでホテルのよう。
トイレだって、とても2000mを越える山の上とは思えない美しさです。
昼ご飯を済ませ、いよいよ白馬岳に登ります。
白馬山荘から白馬山頂はすぐそこで、10分ぐらいで到着します。
(*´▽`*) とうちゃーく!
上の白いものは、青銅の展望図です。
これです。
カエルの表情がなんともユーモラスで憎めない。
さて、旅も残るは下山の道です。
油断して怪我などしないよう、気を引き締めて行きましょう。
白馬岳から、大雪渓を経て猿倉バス停まで約3時間半です。
下山開始が12時20分なので、急げば15時10分発の最終バスに乗れるかもしれません。
下山路は、美しい谷の中を進んでいきます。
花畑の中を、雪解けの水がサラサラと流れていて、まるで天国のよう。
しかし、予想していたより急坂で、かつ岩がゴロゴロしています。
急いでいるのですが、思ったよりスピードが上がりません。
そうこうするうちに、大雪渓の上端部が見えてきました。
ここからは、さらに斜面が急になります。
そして、なんと、ここで再び携帯が真っ暗になってしまい、ウンともスンとも反応しなくなってしまいました。
昨日と同じ現象です。
再び電源がゼロになってしまいました。
昨日と違うのは、今日はバッテリー残の表示が80%だったことです。
昨日のこともあったので、50%ぐらいになったら充電しようと思っていた矢先のトラブルでした。
ということで、残念ながら、ここから先は写真が撮れませんでした。
( ;´Д`) くく・・・
写真こそ撮れませんでしたが、落石もなく無事に大雪渓を下り、猿倉には15時20分に到着しました。
最終バスには間に合わなかったけれど、同じ方向に帰る人達と乗り合わせて、タクシーで下山しました。
5人で乗ると、バスより安くなってお得です。
さらに、今日の山行を話し合ったりして、楽しい帰路でした。
今回は天候にも恵まれ、本当に楽しい山行でした。
僕の大好きな白馬の山々、
(*´ω`)ノ また来るよ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回はまた、関東ふれあいの道に戻ります。
ではまた。
よろしければコメントや読者登録いただけると嬉しいです。
(^ω^)⤵