ロングトレイルの旅   関東ふれあいの道一周

1都6県をつなぐ自然歩道「関東ふれあいの道」1800Kmを一周するりゅうぞうのブログです。

五竜岳から白馬岳へ(最終回)

f:id:trailtravel:20170914164806j:image

(写真:不帰嶮の夜明け)

みなさん、こんにちは。

(=´∀`)ノ

五竜岳から白馬岳の縦走旅も、いよいよ核心部に入ります。

前回は、五竜岳に登ったあと、唐松小屋に到着しビバークしたところまで書きました。

前回の記事はコチラ⤵︎

trailtravel8hureai.hatenablog.jp

trailtravel8hureai.hatenablog.jp

ルートのおさらいです。

f:id:trailtravel:20170914200755j:image

本日は朝4時30分に出発し、暗いうちに唐松岳に登った後、不帰嶮(かえらずのけん)を通過し、白馬鑓ヶ岳杓子岳白馬岳の白馬三山を縦走。

その後は大雪渓から猿倉バス停に降りる予定です。

 

不帰嶮の不思議な感覚

朝の3時に目が覚めました。

たっぷり寝たので、元気一杯です。

天気は、薄いガスが出ていますが、上空は晴れてます。

寒さもそれほどではありません。

サッサとツェルトをたたみ、朝ごはんのパンを頬張ると、元気よく出発します。

4時15分でした。

f:id:trailtravel:20170915111354j:image 

真っ暗な中、振り返ると唐松小屋の灯りが遠ざかっていきます。

この瞬間はいつも気持ちが引き締まります。

人間の領分を出て、異界に入っていくような感じ。

心細いような、ワクワクするような、不思議な気持ちがします。

 

唐松岳山頂へは、明瞭で歩きやすい道が続いています。

20分もすると、頂上に到着しました。

f:id:trailtravel:20170915113645j:image

もちろん誰もいません。

唐松小屋の方を見ても、誰も登ってくる人はいませんでした。

闇の中で景色も見えませんから、先を急ぎます。

f:id:trailtravel:20170915134800j:image

ここから、いよいよ険しい岩場が連続する不帰嶮へと下っていきます。

「不帰」という語感そのものに鋭さが感じられますね。

一度足を踏み入れたら、誰も帰ってこれない!

((((;゚Д゚)))))))

すごい威圧感…

 

唐松岳からの下りは急ですが、広いつづら折の斜面で、特に危なくはありません。 

しかし、下り切ると、薄闇の中に巨大な岩塊の影が、不気味な姿を見せています。

f:id:trailtravel:20170915140304j:image

ハイマツがヘッドライトに照らされて、まるで白い花畑のように見えます。

まさに異界、幻想的な光景。

月が冷たく輝いています。

f:id:trailtravel:20170915140328j:image

岩壁は月明りにぼんやり浮かびながら、何も言わずに僕を見つめているようでした。

一人ぼっちなのですが、岩塊の息遣いが感じられて、周りに気配が満ちているような不思議な感覚。

しかしそれは、どことなく親しみを持って僕を取り囲んでいるような気がして、少しも不安は感じませんでした。

むしろ、自分の感覚が溶け込んでいくような、一体感すら覚えました。

 

やがて、夜の彼方が仄かに色づいてきます。

f:id:trailtravel:20170915172931j:image

朝の光とともに、峻険な岩肌が露わになって、

f:id:trailtravel:20170915172912j:image

先ほど感じた魔術的な感覚が解かれてゆきました。

そして、目の前に現れたのは、厳しい表情をした岩綾です。

f:id:trailtravel:20170915173840j:image

夜は明けて、再び僕は一人ぼっちになりました。

 

険しい道、冷たい風

さて、朝とともに、先ほど感じていた幻想的な雰囲気は消え、代わりに険しい岩場が現れました。

僕も現実に戻り、先へ進みます。

 

不帰嶮は、北から1〜3峰と呼ばれる岩嶺が並び、その険しい峰を繋いで細い尾根が連なっています。

f:id:trailtravel:20170916062016j:image

ここは第2峰の頂上。
少し広い平地になっていて、一息つくことができました。
向こうには第1峰が聳えているのが見えます。

 

f:id:trailtravel:20170915175600j:image

こんな危うい所もちらほら。

 

 

f:id:trailtravel:20170915180026j:image

振り返ると、こんな崖を降りてきたことに改めてビックリ。

 

まだまだ鋭い岩場が続きます。

f:id:trailtravel:20170916061512j:image

 

ようやく第1峰に到着しました。

f:id:trailtravel:20170916062635j:image

向こうに見える険しい峰は、天狗の頭と呼ばれる場所です。

地図には、天狗の頭から南(つまり僕のいる第1峰の方向)には「天狗の大下り」と記されています。

つまり、北へ進む僕にとっては「天狗の大登り」になるわけ。

( ´Д`) ウヘー

 

でも仕方がない。

せっかく登った第1峰を惜しみつつ、天狗の頭を目指して下ります。

下り切ると、6時40分に不帰キレットと名付けられた鞍部にでます。

ちなみに、キレットとは山の稜線が特に深く落ち込んだ場所のことを言い、「切戸」というれっきとした日本語です。

 

不帰キレットからは天狗の頭へと続く急登(僕にとっては「天狗の大登り」)。

このあたりから、唐松岳を目指す登山者とすれ違い始めます。

聞くと、天狗の頭あたりからはガスが出て、天気は良くないとのこと。

そう言えば、次第に日本海側から冷たい風が吹き始めました。

f:id:trailtravel:20170916144406j:image

キレットの手前から天狗の登りを見るとこんな感じ。

(´-`)…

こんな岩登りもありました。

f:id:trailtravel:20170916144847j:image

しかし、それよりもキツくなってきたのが風でした。

かなりの強風で、ジャケットがバタバタと激しく波打ちます。

しかも、冷たい!

 

天狗の頭に出れば、油断すると身体を押されるくらいの強さに。

f:id:trailtravel:20170916145415j:image

ガスも濃くなってきて、かなり寒くなってきました。

吹きっさらしの稜線なので、休むこともままなりません。

手がどんどん赤くなっていきます。

実は今回、指のついた手袋を持ってくるのを忘れてしまい、手を握ったりさすったりして我慢しなければなりませんでした。

強風と寒さをしのぎながら、なんとか8時20分に天狗山荘に到着。

f:id:trailtravel:20170916152556j:image

中には白馬岳から来た人が僕と同じように寒そうに座っています。

情報交換すると、やはり白馬岳も風が強く、ガスの中とのこと。

ここから鑓温泉のほうへ降りたほうがいいかと迷います。

 

冷えた体を温めようと、鮭茶漬けを頼みました。

f:id:trailtravel:20170916152224j:image

( ´∀`)∩ うまい!

体が温まり、手が動くようになってくると、少し元気が出てきました。

窓を見ると、ガスも少し薄くなったような気がします。

よし! ということで、旅を続けることにしました。

 

ありがとう白馬三山

天狗山荘の外に出てみると、明らかにガスが薄くなっています。

風は弱いですが、天狗山荘は信州側にあるので、日本海から吹き付ける風がどんな状態かは分かりません。

ともかく、ガスが薄くなったのはいい傾向でした。

もしかすると、白馬岳に着くころには晴れるかもしれません。

まずは白馬鑓ヶ岳に続く登りを進みます。

f:id:trailtravel:20170916152523j:image

ガレた道を40分ほど登ると、 

f:id:trailtravel:20170916152645j:image

到着しました!

白馬鑓ヶ岳頂上です。

だいぶ天気は回復しましたが、まだ見晴らしが得られるほどではありません。

続いて、杓子岳へと向かいます。

その途中、急な下りの途中で、薙ぎ払われたように突如として雲が取れました。

するとそこには、

f:id:trailtravel:20170916152735j:image

ドーンと、

いままで隠されていた杓子岳が、ド迫力で目の前に現れました!

Σ(゚д゚)! すごい!

日本海側の滑らかな斜面と、信州側の険しい崖が、何とも言えない造形の妙です。

もう気持ちの盛り上がりが止められません。

急ぎ杓子岳の取り付きまで下り降ります。

 

杓子岳は中腹の巻き道を通る人が多く、僕も最初はそうするつもりでした。

しかし、あんな劇的な形で、あの雄大な姿を見せてもらったからには、山頂に登らなければ杓子岳に失礼でしょう。

迷わず山頂へと向かいます。

f:id:trailtravel:20170916152948j:image

巻き道から山頂へ向かう分岐を進み、セッセと登ると、程なく山頂が見えてきました。 

f:id:trailtravel:20170916153054j:image

信州側は切り立った崖です。

慌てて落っこちないように気を付けて進みます。

そして、

 f:id:trailtravel:20170916161346j:image

杓子岳です!

(^ω^)ノ 到着しました!

すっかりガスが取れて、岩壁の下に白馬村がよく望めました。

そして、北側にはピラミッド型の白馬岳が。

白馬という優美な名前に反し、雄々しいその様子は、深田久弥が「怒れる獅子」と例えたとおり、力強く見る人を惹きつけます。

その見事な姿を見ていると、「早く来い」と呼ばれているような気がしました。

f:id:trailtravel:20170916161405j:image

なんだか、白馬三山がそろってガスを取り払い、待っていてくれたような気がします。

ありがとう白馬三山!

 

下山 そしてまた

はやる心を押さえきれずに杓子岳を下ります。

広々とした谷が広がっていました。

f:id:trailtravel:20170916161452j:image

信州側の絶壁も見事ですが、日本海側の優美な傾斜も大好きです。

杓子岳を振り返ってみると、その傾斜の対比がよく分かります。

f:id:trailtravel:20170916165725j:image

ちなみに、僕は杓子岳の、まるで屋根のようにまっすぐ引かれた稜線が大好きです。

何度見ても、面白いなあ、と思います。

 

ここから白馬岳は、ひと登りです。

ぐんぐんと白馬岳との距離が近づいてきます。

f:id:trailtravel:20170916161540j:image

中腹に白馬山荘が見えます。

まるでチベットポタラ宮のようですね。

 

白馬山荘に到着。11時40分でした。

ここで気を落ち着けて、昼ご飯にします。

天空の昼食です。

f:id:trailtravel:20170916161605j:image

白馬山荘は、すごく立派な山小屋です。

小屋というより、まるでホテルのよう。

トイレだって、とても2000mを越える山の上とは思えない美しさです。

f:id:trailtravel:20170916161615j:image

昼ご飯を済ませ、いよいよ白馬岳に登ります。

白馬山荘から白馬山頂はすぐそこで、10分ぐらいで到着します。

f:id:trailtravel:20170916161637j:image

(*´▽`*) とうちゃーく!

上の白いものは、青銅の展望図です。

f:id:trailtravel:20170916165751j:image

これです。

カエルの表情がなんともユーモラスで憎めない。

 

さて、旅も残るは下山の道です。

油断して怪我などしないよう、気を引き締めて行きましょう。

白馬岳から、大雪渓を経て猿倉バス停まで約3時間半です。

下山開始が12時20分なので、急げば15時10分発の最終バスに乗れるかもしれません。

下山路は、美しい谷の中を進んでいきます。

f:id:trailtravel:20170916165924j:image

花畑の中を、雪解けの水がサラサラと流れていて、まるで天国のよう。

f:id:trailtravel:20170916165948j:image

しかし、予想していたより急坂で、かつ岩がゴロゴロしています。

急いでいるのですが、思ったよりスピードが上がりません。

そうこうするうちに、大雪渓の上端部が見えてきました。

f:id:trailtravel:20170916165957j:image

ここからは、さらに斜面が急になります。

 

そして、なんと、ここで再び携帯が真っ暗になってしまい、ウンともスンとも反応しなくなってしまいました。

昨日と同じ現象です。

再び電源がゼロになってしまいました。

昨日と違うのは、今日はバッテリー残の表示が80%だったことです。

昨日のこともあったので、50%ぐらいになったら充電しようと思っていた矢先のトラブルでした。

ということで、残念ながら、ここから先は写真が撮れませんでした。

( ;´Д`) くく・・・

 

写真こそ撮れませんでしたが、落石もなく無事に大雪渓を下り、猿倉には15時20分に到着しました。

最終バスには間に合わなかったけれど、同じ方向に帰る人達と乗り合わせて、タクシーで下山しました。

5人で乗ると、バスより安くなってお得です。

さらに、今日の山行を話し合ったりして、楽しい帰路でした。

 

今回は天候にも恵まれ、本当に楽しい山行でした。

僕の大好きな白馬の山々、

(*´ω`)ノ また来るよ!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回はまた、関東ふれあいの道に戻ります。

ではまた。

 

よろしければコメントや読者登録いただけると嬉しいです。

(^ω^)⤵ 


にほんブログ村


にほんブログ村


にほんブログ村