「八甲田山死の彷徨」のこと
みなさん、こんにちは。
(´・ω・)
またまた、山にまつわる本の紹介をします。
前回は「黒部の山賊」の話をしましたが、今回は、新田次郎作「八甲田山死の彷徨」の話です。
「黒部の山賊」の話はコチラ⤵
trailtravel8hureai.hatenablog.jp
「黒部の山賊」は愉快な話でしたが、「八甲田山」はそうではありません。
高倉健主演の映画で知っているという人も多いと思いますが、原作は映画とは比較にならない緊迫感と絶望感があります。
あらすじの簡単な紹介です。
日露戦争前のこと、厳寒時の戦闘に備え、陸軍の青森第5連隊と弘前第31連隊が冬の八甲田縦走訓練に挑みました。
少人数で案内人を付けた青森5連隊は無事縦走に成功しますが、210名で臨んだ弘前31連隊は悪天候の中、山中に彷徨して遭難し、なんと11名しか生存しなかったという、世界山岳史上でもまれにみる大惨事を起こしてしまうという話です。
小学校のころ、映画が封切りされていて、
「天は我を見放したー」というセリフがはやった記憶が。
この本が書く雪山の恐ろしさは、今になってもどこか心の中で引っかかっています。
特に、極限状態になった人の精神状態の描写は、鬼気迫るものがあります。
「雪の中に座り込んで、げらげら笑いだす者もいた。何ともわけのわからぬ奇声を発しながら、軍服を脱いで裸になる者もいた」
特にこの一節は、衝撃的でした。
また、沢に迷い込んだ残存者の一部が、「これより、駒込川を下って報告に行って参ります」と言って、川に飛び込んで凍死する場面がありました。
ここで恐ろしかったのは、周りでそれを見ていたほとんどの者たちが、「うまいことを考えついたものだ」と思っていて、その後さらに3人が続く描写です。
いかに極限状態が人間の思考を狂わせるか。
山に入れば、自分もそうなる可能性があるということを、ぼくは心のどこかで恐れています。
この本は、そういう意味で、山登りをする人の教科書でもあると思います。
恐ろしい話ばかりではなく、山の知恵のようなこともたくさん書いてあります。
厳寒時の携行食は、油紙に巻き、風呂敷に包んで肌に抱いておくこと。
喉が渇いても雪を食べてはならないこと。
水筒の水は七分目にしておくこと。
汗をかいてはならないこと。
磁石の針は凍って動かなくなること。
そして
「だいたい山というものは、優しい姿をした山ほど恐ろしいものだ」という言葉は、何にもまして、山で生きる知恵が込められているような気がします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
またいつか、「山の本、旅の本」について書きますね。
コチラの本もどうぞ⤵
それでは、
(*´ω`)ノ バイバイ
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