道迷いについて 五頭連峰の遭難に思う
どうぞ読者に!⤵
みなさん、こんにちは。
今回はあまり愉快な話ではないのですが・・・
2018年5月5日から新潟県阿賀野町の五頭連峰で行方不明になっていた親子が、29日になって遺体で発見されました。
ぼくは、このニュースがすごく気になっていて、何とか生きて見つかって欲しいと願っていたのですが、悲しい結果になってしまいました。
お二人のご冥福を心よりお祈りします。
報道によると、お二人の遺体は重なり合うようにして見つかったということなので、滑落したわけではなく、道に迷い、力尽きてしまったのでしょう。
どれほど寒かったか、空腹だったか、不安だったか。
本当に心が痛みます。
お二人が見つかった地点から予測するルートですが、恐らく以下のようなものだったと思います。
(赤線が推測される遭難ルート、赤丸が遭難地点、青線は登山道)
松平山に登った後、本来は登ってきた西側の登山道を引き返すはずだったと思われます。
しかし、下山口を間違えて南側の尾根に伸びる登山道を下ったのでしょう。
なぜ、この間違った道を進み続けたのかは疑問です。
もしかすると、ちゃんと道がつけられているので、不安を感じなかったのかもしれません。
ひょっとすると、このまま五頭山経由で下山しようとしたのかも。
これはすごく分かる。
ぼくも、山へ行くと、ついつい欲張っていろんな山に登りたくなる。
ペースが順調で、調子が良かったりすると、「あと一山」という気持ちになります。
滅多に来れない山だと、なおさら、「今日登らなければ、いつ登る?」という気になってしまいます。
もちろん、計画内で、かつ十分な時間と余裕があるなら、それもいいのですが。
そして恐らく、二人はある個所で、本来の登山道から外れて道を間違えたのだと思います。
ネットで、その個所と思われる場所の写真がアップされていました。
(写真:「登山ちゃんねる」さんの記事より)
この場所に立って、あなたならどちらに進みますか?
正しい登山道は左側の雪のないほうなのですが、倒木に塞がれているし、その先も樹木が密生しているように見えて、すごく分かりづらいです。
それに比べ、右側は道ではないのですが、開けているし、雪が薄く覆っていることもあり、道のように見える。
さらに、ここまで雪で覆われている道を下って来たならば、明らかに右側のほうが継続性があるように思えるでしょう。
ぼくも、この場所に立ったなら、右側へ行くと思います。
しかも、地図を見てわかる通り、右側に進んでもしばらくの間は緩い尾根下りです。
これでは、あとで振り返ってみても、どこで間違ったのかすら分からないでしょう。
しかし、しかし、この尾根は、その緩い尾根を過ぎると、急な下りとなり、迷路のように複雑な沢の地形が続くことになります。(赤円の中)
もしかすると、この急な下りを降りたところで道迷いに気づいたのかもしれませんが、登り返すことは難しかったのかもしれません。
お二人は、何度か助かるチャンスがあったと思います。
➀ 松平山の南の尾根を下った時に、登ってきた道ではないと気付いた時です。ここで既知点の松平山の山頂に戻るべきでした。
② 正しい尾根から外れて急な下りに差し掛かった時、恐らく道を外れたことに気が付いたはずです。ここで下るのをやめ、再び登るべきでした。
③ 最後に電話が通じた際、「道が分かったので、これから下る」と伝えたとのことですが、概略でもいいから自分の場所を言っておくべきでした。こうしておけば、捜索範囲がぐっと絞られて、力尽きる前に発見されたかもしれません。
やはり、道に迷ったと思ったら、正しいと分かる場所(山頂、道標)まで戻らなくてはなりません。
急な下りのあとだと、戻るのがおっくうになったりします。
あるいは、遠くに集落や人工物が見えたりすると、間違っていてもこのまま進めば大丈夫だと思う時もあります。
絶対にダメです!
次に、迷ったら沢や谷に下ってはいけないということです。
どの地図でもいいから、山の地形を見てください。
下れば下るほど、地形は複雑になり、急な崖や袋小路のような場所が多くなります。
下れば下るほど、見晴らしは悪く、自分の位置が分からなくなり、発見される確率が極端に低下します。
その逆に、
登れば登るほど、山頂に向かって道は集約し、尾根線沿いの単純な地形になります。
登れば登るほど、見晴らしはよくなり、開けた場所が増え、発見される確率が高くなります。
川まで出れば、そして川をたどっていけば、いつかは集落に出るか、山域から脱出できるような気がします。
また、水の近くにいれば、生き延びることができるような気がします。
これも絶対ダメです。
確かにそうかもしれませんが、その途中にはいくつもの滝があり、袋小路のようになっていて出ることのできない谷があり、ほぼ川沿いに進むことは不可能です。
そして道を探して迷っているうちに滑落するか、力尽きることでしょう。
しかし、こうやって部屋に座ってパソコンを打っている時と、実際に山で迷った時の心理状態は全く違います。
ぼくもなんども経験がありますが、正常な判断をしているようで、おかしな行動をとっていたこともあります。
沢のほうに下るほうが確実だと思い、実際に下りかけたこともある。
木々の隙間に街が見えて、このまま進んだ方が近道だと思ったこともある。
ふれあいの道でも、何度も迷っています。(いずれも大したことはなかったですが)
道迷いは、実際に直面するとかなり強い不安と衝撃を感じます。
特に、単独行であったり、夜が近くなったりすると、その心理的動揺はかなり大きなものがあります。
みなさんがそうなった時に、少しでも被害を少なくするために、今回の記事が参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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