稲包山で夜を迎える ぐんま県境稜線トレイル⑦
(写真:稲包山山頂でのビバーク)
どうぞ読者に!⤵
みなさん、こんにちは。
;つД`)
毎回、記事の間隔が空いてスイマセン・・・
それでなくとも、長いぐんま県境稜線トレイルの旅。
どうか引き続きお付き合いください(お願い!)
前回は、平標山の家に到着したところまで書きましたね。
前回の記事はコチラ⤵
大障子避難小屋を朝の2時に出発し、8時20分に平標山の家に到着
まだ朝とはいえ、すでにもう6時間以上歩き続けています。
情けないことに、かなりの疲労を感じる・・・
さらに、朝露に濡れた足首を伝って、靴の中まで濡れてしまいました。
足の皮がふやけてしまい、痛みすら感じるほどに。
本来なら、この場所は8時前には通過していなければ、今日の宿営地であるムジナ平に明るいうちに到着することは難しい。
ルートの詳細はコチラ⤵
それなのに、疲れのあまり平標山の家で1時間近く休んでしまいました。
こんなことで、この先どうなるのか?
不安は募るばかり・・・
ということで、2019年8月11日の旅の続きです。
疲労困憊の三国峠
平標山の家でラーメンを食べ、トンボと遊ぶうちに、9時を過ぎてしまいました。
計画より大幅に時間が過ぎていると、分かっているんですが・・・
分かっているのに、疲れて体が動かない!
ふやけた足も、痛い!
もう進みたくない!
何だか変な声が聞こえてきます。
ここからなら、苗場スキー場方向へ下ることができる、今しかないっ!
声は、ますますぼくの耳の奥で囁いてくる。
正直言うと、ほとんどこの声に従いそうになっていました。
足も痛いし、そもそもムジナ平に到着できる時間じゃない。
一体どこで夜を過ごすつもりなんだ?
しかも、稲包山から先は、道すら定かでない難路・・・
ずいぶん悩みましたが、ようやく決断。
やっぱり、三国峠までは行こう!
三国峠からは30分ほど下れば国道に出るし、さらに40分ほど進めばバス停に出る。
進むか、止めるか、三国峠を最後の決心点にしよう。
平標山の家を後にしたのは、計画より1時間半ほど遅れた9時20分でした。
ここからは完全に谷川主脈を離れ、樹林帯が続きます。
これまでの鋭い稜線とは打って変わって、歩きやすい道です。
少し開けた場所に出ましたが、谷川主脈方向の左側の谷には厚いガスが。
少しガスが薄くなる時もありますが、谷川主脈の稜線は見えません。
晴れていれば、雄大な山なみを望めたのに。
ガスに遮られて日差しは乏しいですが、気温は高い。
蒸します。この感じだと、午後は崩れるかもしれない。
足がふやけているので、雨は困るなぁ・・・
そんなことを思いながら、延々と続く樹林帯を進みます。
1時間ほど進むと、三角山という山頂らしくない場所に出ました。
標識の文字が達筆で気合入ってますよね。
あと、地点間を時間で示しているのも珍しいですね。
三国峠までは1時間30分とある。
このとき10時15分だったので、だいたい12時前には着く計算か。
三国峠からムジナ平まではざっと7時間。
夏なので19時でもまだ明るいといえば明るいが、かなり厳しいなぁ・・・
ということで、休むことなく先を急ぎます。
さらに1時間ほど進むと、尾根の先に三国山らしき山が見えてきました
ということは、あの向こうが三国峠だな。
時計を見ると11時10分。
見当通り12時前には三国峠に着けそうでしたが、平標山の家から2時間ほど歩き続けたために、再び足の痛みが強くなってきました。
もしかすると、足の裏にマメができたかもしれません。
足が地面に着くと、かなり痛い・・・
スピードを出すのが辛くなってきましたが、それでも峠への下りに到着
木の階段が続いています。
どんどん下りましょう。
しかし、トレイルと異なって、固い木段はもろに足裏に衝撃が伝わります。
((;゚Д゚) 痛いっ!
下ることが、痛くて痛くてたまりません。
もう、三国峠は目と鼻の先なのに・・・
12時ぐらいに峠を通過できれば、なんとかムジナ平まで行けるかもしれないのに・・・
それなのに、階段の途中のベンチに座り込んでしまいました。
蒸し暑いなかを進んできたせいか、体の疲れもひどい。
10時間も動き続けてきて、頭もふらふらする。
もう我慢できなくて、靴と靴下を脱ぎ、さらにはTシャツも脱いで、ベンチに横になりました。
横になると、疲労がドッと押し寄せてきて、思わず目をつぶってしまい・・・
そのまま眠ってしまいました。
どうする? どうする?
目を開くと、12時30分を過ぎていました。
なんと、30分近くも眠っていたようです。
どうしよう! ただでさえムジナ平までは厳しい時間なのに・・・
いずれにしても、この状態では明るいうちにムジナ平に到着することは難しい。
道がはっきりしないのに、夜間動くことは危険です。
とすると、三国峠から下山するか・・・
かなり悩みます。
しかし、少し眠ったのでかなり体力が回復していました。
靴を脱いで乾かしていたので、足の痛みも相当和らいでいます
この感じなら、稲包山までは明るいうちに行けるかもしれない。さらに、また調子が戻ってくれば、速度を回復できる可能性はあります。
そうすればムジナ平もまだ諦めるのは早い。
稲包山までは地図でも実線道だし、三国峠からのコースタイムは4時間ほどです。
もし、翌日調子が悪ければ、三国峠まで引き返して下山することもできる。
(`・ω・´) よし、行こう!
そうと決めたら、さっそく靴を履き、出発!
ますます急になる階段を、峠に向けて下ります。
急な階段はやはり、足裏にこたえる・・・
そしてようやく、12時50分に三国峠に到着
小さな神社が一つ、あとは何もありません。
じつは、自動販売機があればコーラ買おうと思っていたんです。
そんな自分の浅はかさが情けない。
そして、微かな希望が打ち砕かれて涙が出てくる。
ここが稲包山へと向かう道の入り口です。
道標の立っているのが心強い。
もう戻らない覚悟で、気合を入れなおします。
登るといきなり、藪漕ぎ風の急登が襲い掛かってくる。
踏み跡はあるものの、ほとんど誰も入ってこないんだろうなぁ。
クマが心配です。
はるか向こうに、苗場プリンスホテルが見えました。
人間界とも、しばらくお別れだな・・・
再び稜線へ
ゼイゼイ言いながら20分ほど登ると、ようやく稜線に出ました。
ようやく、一息つけます。
あとは、この稜線を外さないように稲包山まで進む!
天気は相変わらず曇りベースですが、蒸し暑い。
しかし、ムジナ平まで水場がないので、今ある水を大切に使わなくてはいけない。
本当に苦しくなった時に一口だけ飲むようにして、先に進みます。
なんだか道が不明瞭になってきて不安ですが、とにかく稜線を外さず進む。
緩やかにカーブを描きながら、稜線は南へと曲がっていく。
本当にどこまでも続く稜線のトレイル。
三国峠を後にして約1時間半、2時30分にキワノ平ノ頭という場所に出ました。
久しぶりに出現した道標に一安心。
ここは地図にも記載されている場所で、ここから稲包山まではコースタイムで1時間45分と書かれています。
とすると、17時までには到着できるかな。
気持ちも落ち着いたので、ここで一休みし、贅沢にも水を二口ほど飲みました。
三国峠の手前で眠ったのが効いているようで、先ほどまでの酷い疲労は感じません。
元気が残っているうちに、どんどん進んでいきましょう。
一番奥に見えている一番高い山が稲包山でしょうか。
そして、稲包山から右に連なる尾根が、ムジナ平から白砂山へと続く稜線でしょう。
この辺りから、尾根沿いに送電線が走り始めます。
鉄塔まわりに保線用の巡視路がいくつも混交していて、そちらに迷い込まないよう注意が必要。
たとえば、こんな場所ですが、正しい道は右上に登っていく方向です。
そのような個所には標識が設置されているのですが、時には標識が倒れていて分かりにくい場所もある。
迷わないよう、気をつけて行かないと。
もう進めない稲包山
このようにして進み続け、ようやく稲包山の取り付きに到着しました。
まっすぐ進めば稲包山の山頂、写真では見切れていますが右へ行けばムジナ平です。
この時、時刻は4時15分
ムジナ平に向かう時間も体力も残っていませんでした。
それよりも、今夜のビバーク適地を見つけなければ。
ここまでツェルトを張れるような場所はなく、この先もないようです。
しかし、山頂なら少し開けた場所があるかもしれない。
動物の危険も、このような樹林の中よりは山頂のほうが少ないでしょう。
そう考え、稲包山の山頂に向かうことにしました。
ここから10分ほどで山頂には到着
思ったとおり、山頂はかなり開けていて、ツェルトを張る地積もありました。
時間はもう16時半近く、これから登山者が来ることもないでしょう。
それに、疲れ切っていて、もうこれ以上進めない。
足裏の痛さも、かなり苦しくなってきて、今日はもう歩けない。
計画外の緊急的な行動になりますが、ここでビバークすることに決めました。
何だか守ってくれるような気がしたので、祠のすぐわきにツェルトを張ります。
申し訳ありません、一夜の宿をお借りします。
祠にお参りをし、設営を終えると、あたりは次第に暗くなってきました。
どうやら山頂は雲の中に入ったよう。
風も強くなってきて、ツェルトが風にはためきます。
さて、これからどうなることやら・・・
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
明日このままムジナ平へと進むか、それとも三国峠へ戻るか。
次回もまた、どうぞ一緒に旅してください!
( ;´Д`) バイバイ
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