大障子避難小屋の夜 ぐんま県境稜線トレイル④
(写真:大障子避難小屋)
どうぞ読者に!⤵
みなさん、こんにちは。
(;゚Д゚)・・・
2019年8月11日のぐんま県境稜線トレイルの続きです。
前回は、谷川岳肩ノ小屋から谷川主脈に足を踏み入れたところまで書きましたね。
前回の旅はコチラ⤵
谷川岳肩ノ小屋から平標山に至る尾根は、谷川連峰の主脈を形成する雄大な稜線です。
しかし、この間に有人小屋は一つもなく、水場も1カ所しかありません。
今回の旅では、大障子避難小屋で夜を過ごし、夜明け前に出発することとしました。
計画の詳細はコチラ⤵
この谷川主脈稜線は、ルートとしては厳しい条件。
登山者の姿を、この稜線に入ったとたん、全く目にしなくなりました。
谷川岳までは、あんなに多くの人がいたのに。
周囲は人の気配のない、完全な静寂が続きます。
霧も深くなってきて、いやおうなしに孤独感が募る・・・
加えて、日中の暑い日差しにやられ、かなり体力を消耗してしまいました。
軽い熱中症になったようで、今もまだ強い眠気が残っています。
そんななかで、次第に夕刻が迫ってくるわけですが、どんな旅となるのでしょう。
それでは、旅を続けましょう!
まだか大障子避難小屋
肩ノ小屋から1時間近く歩きましたが、霧が晴れる気配がありません。
むしろ、次第に濃くなってきたような気がします。
鋭い稜線の両側が霧に閉ざされ、静寂があたりに満ちてくる。
なにやら異世界に迷い込んだような雰囲気です。
死後の世界というのがあるなら、こんな感じかな、とも思ったりします。
いやいや、そんな気味の悪いことを考えるのはよそう!
気分を変えようと歌を歌いますが、かえって寂しさが増す感じなので、すぐに止めてしまいました。
時間計算的には、大障子避難小屋まではあと1時間ほど。
早く着かないかなぁ・・・
と思っていたら、急峻な鎖場が出現
なかなか速度を上げさせてくれません。
そうこうしながら進んでいくと、ようやくオジカ沢の頭に到着
16時ちょうどでした。
コースタイムでは、ここから大障子避難小屋までは1時間
どう遅れても、明るいうちには到着できそうです。
といっても、やはり一刻も早く着きたい。
休むことなく先へ進みます。
ここからは稜線が丸く、広くなってきて優しい感じに。
しかし、こういったのっぺりとした尾根は道を迷いやすい。
霧も濃くなってきたなぁ・・・
まだ着かないのか、とムダに気持ちが焦りました。
オジカ沢の頭には避難小屋があります。
ちょっと中を覗いてみましょう。
決して広くはないです。
詰めれば4人は入れるけれど、だいぶキツイかな。
一瞬、今日はここで休もうかとも考えましたが、翌日の行程を考えると少しでも先に行かなければ。
さらに進みます。
( ;´Д`) まだ着かぬ・・・
さらに進みます。
;つД`) まだかな・・・
また眠くなってきました。
はやく着きたい。
そう思いながら登ります。
すると、そこが小障子の頭でした。
大障子避難小屋は、ここを下ったところにあります。
ようやく(ほぼ)到着!
時間は16時30分。
オジカ沢の頭からたった30分の距離なのに、何と遠く感じたことか・・・
命の水を求めて
さて、避難小屋の手前に、この稜線唯一の水場があります。
ここで水を補給しておかなければ、明日大変なことになってしまう。
今日は暑かったので、かなり水を飲んでしまったのです。
疲れてはいましたが、避難小屋に入る前に水場へ行っておきましょう。
枯れていないといいのですが・・・
稜線を離れ、南側の斜面を下ります。
振り返ると、尾根が霧に隠れていく。
帰りに迷わぬよう、何度も振り返り地形を記憶しておきます。
かなり急な斜面を下り、どんどん谷のほうへと降りていく。
標高が下がったのでガスは取れましたが、あまりに下がるので不安になってくる。
踏み跡も不明瞭。
10分も下り続け、もう引き返そうと思った時、水音が聞こえてきました。
どうやら、あの笹薮の中のようです。
すると、案の定、笹薮の中にかすかな流れが・・・
(; ' ∀ ') あった!
よかった!
好天が続いていたので、水量はかなり乏しくなっていました。
それでもしっかりと水は流れている。
ありがたい!
これまで節約のため、チビチビとしか水を飲めなかったので、まずは思いっきり喉を鳴らし水を飲む。
生き返る!
まさに命の水!
そして目いっぱいに水を補給しました。
避難小屋の夜
渇きをいやし、無事に水を補給できました。
あとは避難小屋に入るだけです。
もと来た道をたどり、急坂を登り返して稜線に戻りましょう。
迷うことなく尾根に出ることができました。
すると、霧の中に大障子避難小屋が姿を現します。
とうちゃーく!
( * ´Д`) ホッ・・・
時間は17時10分。
これで本日の行程は終了。
どうやら先客はないようです。
先ほどのオジカ沢の頭避難小屋より、はるかに広く快適です。
ポリ袋にゴミが放置してあったのは残念。
回収できるものは、僅かながらですが回収しておきました。
汗で濡れた衣服を着替え、寝袋を展開し終わると、食事です。
小屋にあった折り畳み椅子を外に出し、ゆったりした気持ちで一息つきました。
次第に、稜線は深い霧に沈み始めます。
食事を終えても椅子に座ったまま、夜がやってくるのを待つ。
そしていつしか、あたりは一面の闇に包囲されていきました。
物音ひとつしない漆黒の闇
そろそろ眠ることにしましょう。
明日は今回の旅で最も厳しい行程です。
計画では平標山から三国峠へ下り、ムジナ平まで行かなければなりません。
もう一度ルートのおさらい⤵
計画では朝の3時に出発する予定でしたが、今日のスピードを考えると、もう少し早く出たほうがよさそうです。
明日も熱にやられる可能性があるし。
そう判断して、予定を1時間早め午前2時に避難小屋を発つことを決心。
寝袋に入ると、疲れていたせいかすぐに眠りに落ちてしまいました
・・・・・・
どれくらい眠ったでしょう。
突然、眠りから覚めて目を開きました。
しっかり睡眠をとった手ごたえがあります。
小屋の中は当然ながら真っ暗。
鼻を摘ままれても分からないくらいの深い闇です。
もう一度眠ろうと目を閉じましたが、妙に目が冴えて眠れません。
・・・・・・
闇の中で目を開いたまま、5分ほどたったころ、
突然、小屋のスチール製の壁を外側から「ガン! ガン!」と叩く音が。
(3度、規則正しく打つ音が聞こえました)
ええっ!
ぼくは驚きのあまり、横になった状態から、文字通り少し飛び上がりました。
小屋は大きなドラム缶のようですから、ビックリするくらい音が響きます。
聞き間違えようもありません。
たしかに、連続して壁を叩く音が聞こえたのです。
ぼくは息をひそめ、そのままの姿勢で壁の外の気配を察知しようと努めます。
何かが外にいるなら、足音は聞こえるはずです。
もしかすると、話し声や息遣いが聞こえるかもしれません。
とてつもなく緊張した時間が流れます。
しかし、数分待っても何の音もしませんでした。
ぼくは意を決して、外を確認することにしました。
もしかすると、要救助者の可能性もあります。
ゆっくりと小屋の扉を開け、外を伺いますが、何の気配もありません。
外に出て、ライトを点灯してみます。
やはり、何の姿もありません。
小屋の周囲を確かめてみますが、動物の足跡もありませんでした。
霧はすっかり晴れて、きれいな月が出ています。
時計を見ると、22時20分でした。
ちなみに、ぼくはあまり幽霊のようなものは信じていません。
ただ驚いたという事実をそのまま書きました。
今回の音も、そもそも心霊現象のようなものとは思っていないのです。
恐れたのは、悪意のある人間が小屋に来たのではないかということでした。
後に考えてみたのですが、あの音は、甲虫のような硬さのある虫が、壁にぶつかったのではないでしょうか。
不安な精神状態のせいで実際以上に音が大きく聞こえたのでしょう。
なので、これからこの山域に入る人は、どうか変に恐れることなくこのルートを楽しんで貰えればと思います。
しかし、それにしては音が規則的だったような気もしますが、いずれにしても不安な夜の出来事でした。
まだ出発までには数時間あります。
もう少し眠っておきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は夜の稜線歩きと夜明け、そして平標山のことを書きますね。
次回の旅はコチラ⤵
それでは、また。
( ;´Д`) バイバイ
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